見た目を整えるだけでなく、「その画面を毎日使う人」が迷わず、疲れず、 ミスなく使い続けられる状態をつくることを大切にしています。 業務システムからプロダクトUIまで、現場の運用まで見据えた設計を行います。
UI / UX Designer
「デザインする」ことは、見た目を美しく整えることだけではなく、 使う人の負担や迷いを減らし、業務や体験そのものを良くしていくことだと考えています。
これまで、社内の業務システムや受発注フローの改善に携わり、 「作って終わり」ではなく「現場で使われ続けるかどうか」を軸に、 画面設計・情報整理・運用フローの見直しまで一貫して取り組んできました。
今後はUI/UXデザイナーとして、ユーザーの行動や現場の実態を丁寧に観察しながら、 次に使う人のための設計を積み重ねていきたいと考えています。
実際に取り組んだ業務改善・UI設計の事例です。
紙・電話中心だった受発注業務を、現場が自然と使いたくなるWeb注文フローへ。 情報設計と運用フローの両面から改善に取り組みました。
抽象的な方針を、具体的な数値目標とスケジュールに翻訳し、 進捗を追える資料構成に落とし込みました。
Read case study →マニュアル化とクレーム対応の記録を型化し、 個人の記憶に頼らない業務の仕組みを設計しました。
Read case study →受発注業務は電話・FAX・紙の伝票が中心で、担当者ごとにやり方が異なり、 情報が現場と本部の間で分断されていました。Web注文の仕組み自体はすでに存在していたものの、 「使いにくい」「覚えることが多い」という理由で現場に定着せず、 結果として二重入力や伝達ミス、処理の遅れが常態化していました。
販売管理システムには150を超える機能が存在していましたが、 現場が実際に使う機能はごく一部に限られており、 「何を・どこまで使えばよいか」が整理されていないことも定着を妨げる要因になっていました。
まず、現場の担当者がどの場面で迷い、どこで手戻りが発生しているかを整理し、 Web注文フローを「現場の一連の動き」に合わせて見直しました。 あわせて、受注・在庫・請求・マスタ保守など12分類、約150画面ある販売管理システムの ひとつひとつに「◎毎日使う」から「×使っていない」までの使用頻度をタグ付けし、 「日常的に使う機能」と「ほぼ使われていない機能」を分けて設計に反映しました(Fig.4)。
UIの見直しだけでなく、受注確定から発注、そしてそこで見つかった課題を 次の改善につなげる「改善ループ」を業務フローとして組み込むことで、 一度作って終わりではなく、使いながら改善し続けられる仕組みを目指しました。
Fig.1 — 業務改善のBefore / After(ラフイメージ)
Fig.2 — Web注文から改善ループまでの業務フロー(ラフイメージ)
Fig.3 — 受発注業務まわりの役割分担(ラフイメージ)
Fig.4 — 全画面に使用頻度をタグ付けした一覧をもとに再構成(実データに基づくラフイメージ)
業務改善に取り組んだ結果、以下のような変化が見られました。 これらは受発注フロー全体の運用改善による成果であり、 UI設計単独の効果として断定するものではありません。
※ 上記の数値は、Web注文フローの改善・情報整理・運用ルールの見直しを含む 業務改善プロジェクト全体の成果として計測されたものです。 同じ半期のデータをもとに、方針発表資料そのものの設計を扱った事例を Case Study 2で紹介しています。
「使いやすい画面をつくる」ことと「現場で使われ続ける仕組みをつくる」ことは、 似ているようで別の課題だと実感しました。 どれだけ整った画面でも、現場の業務の流れに合っていなければ使われません。
部門の方針は半期ごとに言葉としては共有されるものの、 「顧客ファーストの徹底」「業務効率化」といった表現は抽象度が高く、 聞いた直後は納得できても、日々の業務判断や行動には結びつきにくいという課題がありました。
半年後の振り返りの場でも、何がどれだけ変わったのかを数字で語れる資料になっておらず、 方針発表そのものが「聞いて終わり」になりがちでした。
3つの方針(顧客ファーストの徹底/業務効率化/責任感と自主的な行動の促進)を、 スローガンのまま伝えるのではなく、それぞれ具体的な数値目標に翻訳して資料を構成しました(Fig.1)。
半期の振り返りでは、発表時に掲げた目標と実際の実績を並べて見せる構成にしました。 たとえば「業務効率化」では、電話・FAXが中心だった受発注をWeb注文に切り替える取り組みについて、 受付件数の半期比較(Fig.2)と、業務別の処理時間の増減(Fig.3)をあわせて示し、 うまくいった部分とそうでなかった部分の両方を数字で確認できるようにしました。
うまくいかなかった部分をあえて隠さずに載せたのは、方針発表を「良い数字だけを見せる場」ではなく、 「次に何を見直すべきかを判断する場」にするためです。
Fig.1 — 3つの方針と具体策の紐づけ(ラフイメージ)
Fig.2 — 受付件数の半期比較(社内の振り返り資料をもとにしたラフイメージ)
Fig.3 — 業務別の処理時間増減。発注業務は増加しており、課題として次期に持ち越された(ラフイメージ)
受発注の窓口をWebに寄せる取り組みにより、Web注文の件数は半期で975件から1850件に増加しました。 全体に占めるWeb注文の割合は約51.7%となり、目標としていた53%にはわずかに届かなかったものの、 電話対応は904件から499件まで減少しました。
受注に関わる3つの業務(Web注文・FAX・電話)の処理時間は合計で約34.7%削減され、 目標としていた30%削減を上回りました。ミスの件数も66件から47件(▲28.8%)に減少しています。
一方で、すべてが計画通りに進んだわけではありません。FAXの件数はむしろ増加し(974件→1230件)、 発注業務の処理時間も増加(+21.1%)しました。ミスの削減幅も目標の50%には届いておらず、 次期に持ち越す課題として資料にそのまま残しました。
※ 上記の数値は、半期の振り返り資料に記載された実績です。単独の施策ではなく、 複数の取り組みが重なった結果の数字であり、個人名・取引先名は記載していません。
方針や実績を扱う資料であっても、業務システムのUI設計と考え方は同じだと感じました。 抽象的な言葉をそのまま伝えるのではなく、具体的な数値に翻訳し、 うまくいった部分といっていない部分の両方を見える形にすることが、次の行動につながります。
受発注や展示会対応、クレーム対応、棚卸しといった業務の進め方が、 担当者個人の経験や記憶に依存している状態でした。 マニュアル自体は一部存在していたものの、作成や更新のルールが曖昧で、 フォーマットも担当者ごとにバラバラでした。
現場に「マニュアル化した方がいい仕事」をアンケートで聞いたところ、 価格設定や照合のルールなど「担当者本人にしかわからない業務がある」という認識は、 現場側にもすでにあることがわかりました。
クレーム対応についても、対応の経緯が口頭やメモで個人管理されており、 担当者が変わると同じ説明を最初からやり直す、対応が途中で止まっていても気づかれない、 といったリスクがありました。
まず現場全員へのアンケートで「マニュアル化した方がいい仕事」とその優先順位(第1〜第3希望)を集め、 欠員が出たときに困る業務を最優先に選定しました。作り手の主観ではなく、現場の声を起点にしています。
マニュアル作成は「作成者→チェック者」の2名体制とし、作成者が記入されているか・文章が分かりやすいか・ そのマニュアルだけで作業が完結するか・曖昧な表現がないか、といったチェック項目に沿って 別の担当者が確認する、10ステップの標準プロセスとして運用しました(Fig.2)。 タイトルの命名規則(更新年月+タイトル)、フォント、Excelでの様式(背景・印刷設定・作成者名の記載位置)も統一し、 誰が見ても同じ形式で参照できるようにしました。取引先ごとの専用伝票マニュアルは1社1ファイルで管理しています。
完成したマニュアルは共有フォルダの項目別フォルダに格納し、更新のたびに社内チャットで案内する運用にしました。 新人が最初に読む「現場向け基本冊子」の構成も設計し、業務の目的から1日の流れ、受注・発注の基本、 トラブル対応・報連相、改善提案の出し方までを9章にまとめています(Fig.4)。
クレーム対応では、受付日・記入者・最初の対応者・対応担当者・クレーム内容・対応内容を 1枚のシートに固定フォーマット化しました。対応が別の担当者に引き継がれる場合も 「誰から誰へ」を明記できるようにし、動きがない週も「時点更新なし」と明記するルールにしたことで、 対応が止まったまま放置されていないかを毎週確認する運用が自然に生まれました。
Fig.1 — 属人化からの脱却(ラフイメージ)
Fig.2 — アンケートで選定し、作成者→チェック者の2名体制で仕上げるマニュアル作成フロー(ラフイメージ)
Fig.3 — クレーム対応記録シートの項目整理(ラフイメージ)
Fig.4 — 新人が最初に読む「現場向け基本冊子」の章構成(ラフイメージ)
アンケートをもとに選定した業務に加え、取引先別の専用伝票マニュアルを含めて、 約25件のマニュアルが整備されました。「作成者→チェック者」の2名体制と10ステップの標準プロセスが定着し、 マニュアルが「作って終わり」にならない運用になりました。
クレーム対応の経緯も個人の記憶ではなく記録として残る状態になり、担当引き継ぎが可視化されました。
あわせて確認できたのは、半期ごとに150件を超える小さな業務改善(フォルダ整理、ひな形作成、 確認手順の見直しなど)がすでにシートに記録される文化があったことです。 大がかりな改革をしなくても、担当者が入れ替わっても「何を、どう変えたか」が資産として残る土台は 現場側にすでにできていました。今回の取り組みは、その土台にマニュアルという受け皿を用意したことに近いと感じています。
※ ここに記載した内容は、社内資料の情報をもとに匿名化・要約したものです。 企業名・個人名・取引先名は記載しておらず、件数は資料に記載された時点のものです。
マニュアルやクレーム対応の記録は、「作ること」自体が目的ではなく、 "誰が見ても同じように使える状態を保ち続けられるか"が本質だと感じました。
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